「幻想水滸伝」シリーズの制作陣が集まる Rabbit & Bear Studiosは2020年夏、新規IP『百英雄伝』の開発をするために、クラウドファンディングを実施し、4億8千万円近くの支援を受けることに成功しました。
しかしながら、先日、本作が発売初日から「Xbox Game Pass(サブスクリプション)」に入ることが発表されたことから、一部の支援者が苦情や返金を求める騒ぎとなっているようです。Xbox Game Pass は月々850円で遊ぶことができる一方で、支援の最低金額が4,000円であったことが原因とみられます。
Rabbit & Bear Studios は6月17日、キックスターターの”コメント”欄にて、以下のとおり回答しています。
Rabbit & Bear Studios
Q: 発売日に『百英雄伝』をプレイできるプラットフォームを教えてください。
A: 当初の予定通り、Xbox One、Xbox Series X|S、PlayStation 4、PlayStation 5、Steam、Epic Games Store、そして次世代任天堂ハードでプレイできます。
Q:『百英雄伝 Rising』とは何ですか、また『百英雄伝』の開発に影響はありますか?
A:『百英雄伝 Rising』は、Kickstarterキャンペーンで『A Quiet Place (Companion Game)』として掲載され、皆様の圧倒的な支持によりクリアとなった最後のストレッチゴールで、現在、ナツメアタリ社と提携して開発を進めているゲームです。『百英雄伝』の開発に影響が出ないよう、別の開発チームとの共同作業を選択しました。このことで、結果的に皆様により早く『百英雄伝』の世界を体験していただけると考えています。
Q: プロジェクトのパブリッシャーが決まり、ゲーム機のハードメーカーからのサポートも受けられるようになった今、私の支援は無意味なものになってしまったのでしょうか?
A: とんでもございません!キャンペーン開始当初から、『百英雄伝』のような規模のゲームを開発するための資金を確保するために、複数のパブリッシャーと交渉をしていました。その際、どのパブリッシャーに対しても“『百英雄伝』の可能性”を証明する必要がありました。つまり、このゲームが多くのファンに支持されていることを示さなければ、高品質な作品を開発するための追加支援を受けることはできませんでした。実際、JRPGの制作費は5,000万ドル(50億円)を超えることもありますから、できるだけ多くの支援が必要でした。『百英雄伝』は本当に支援者の皆様のサポートがなければ実現できませんでした。
Q: 2D(または2.5D)ゲームを作るのに、そんなにお金が必要なの?
A: まず、表現はどんな形であっても、大規模なRPGを作るのには多額の費用がかかります。
現在お約束している企画内容でお話すると百英雄伝を作り上げるには50人超え規模のチーム作りが必要となります。
加えて、本作は100人以上の主要キャラクターとそれを取り巻くキャラクターやエネミーが多くのシーンで活躍する為の手描きのピクセルアートとアニメーションが必要となります。
更には、現在のモニター解像度に合わせたクオリティでピクセルアートを作成するとなると、1キャラクターのアセットを作成するには3Dアート同様かそれ以上の時間とコストが掛かる事もあります。
以上の理由も含めて、本作を作り上げるにはKickstarterで集めた資金に加え、複数の支援者の組み合わせが必要となってくるのですが、これらは、Kickstarterキャンペーンを成功させていただき、ゲームの必要性を証明していただけたからこそ実現したものです。
Q: Kickstarterで多額の支援をしたのに、Game Passで「ほぼ無料」でゲームを遊べる人がいるのは不満です。
A: お気持ちは理解できますが、ご支援いただいた方には下記の特別な特典が用意されています:
・スタッフロールにお名前を掲載
・全てのDLCを無料で提供(これは、ほとんどのパブリッシャーがやりたがらないことです)。
・Game Passでゲームをプレイできるのはサービス期間中のみですが、皆様はゲームを永久的に所有できます。これはとても重要な違いです。私たちはたくさんのブルーレイを所有していますが、映画はNetflixでも見ます。何度も見たい良い映画があれば、購入して所有します。私たちは、このゲームを「持っていてよかった」と思えるものにしたいと考えています。
・開発メンバーの一員として → キャンペーンに参加して、開発の舞台裏や完成までの経過を見ることができるだけでなく、重要なキャラクターに投票したり、開発メンバーと直接話をするなど、ほとんどのゲーマーにとって夢である「ゲーム開発に協力する」という体験をご提供します。
・名作ゲームの歴史に携わる → 良いゲームを独り占めするのではなく、「共有したい」と思ってもらえることを期待しています。Game Passに対応したことで、より多くのコンテンツを開発することができるようになりました。ゲームの世界をより広大なものにし、また、続編開発の可能性を大きく広げることができました。村山の中には、まだまだたくさんの物語がありますので、皆様と一緒に、このゲームの歴史を築いていきたいと考えています。
Q:ゲームの発売が延期されたのは、パブリッシャーを選んだことによるものか、それともGame Passの契約によるものでしょうか。
A: いいえ。村山がコメントを出しておりますが、発売の延期はゲームコンテンツを充実させる決断と、他の多くの開発チーム同様、コロナウイルス感染症対策のための開発体制の変更によるものです。こちらについては、できるだけ早く皆様にお伝えしたかったので、先月のアップデートで説明をいたしました。DLCやその他の制作負荷の高いコンテンツについては、可能な限り遅延が発生しないようにスケジュールを組んでいますが、それでも100体のキャラクターをハイブリッドスタイルで制作するためには、数多くのプロトタイプ開発やコミュニケーションのための時間が必要となり、結果的に延期となってしまったことを心よりお詫びいたします。
Q:Rabbit & Bearがパブリッシャーなどの大手企業の影響を受けているような気がするので、返金してほしい。
A: そのようなことはございません。ゲーム開発は、これまでと同様、Rabbit & Bearがリードしています。私たちは、可能な限り透明性を保つよう最善を尽くしてきました。現実として、これらのパートナーシップによって、より多くのコンテンツとより壮大なストーリーを提供できるだけでなく、続編の可能性を生み出す良い機会にもなっており、505 Gamesは私たちの決断をサポートをしてくれています。対応機種に関しては、当初の予定から変更はありません。目指すゲームの方向性も変わっておりません。より多くの方にプレイしていただくことが、「皆様との約束」に反することとは考えておりませんので、現時点では返金の予定はありません。何卒ご理解の程よろしくお願いします。
まず”支援”の意味の捉え方。”寄付を受ける”のか、”報酬を返す”かの違いなのですが、今回は、支援額によって報酬を付けているので後者と思われます。
支援していない人よりも報酬が低いと感じている一部の”支援者”に対して、報酬が上回っていることを誤解がないように説明するのが難しい案件かも。金額だけしか見ていない人もいるからなぁ。