AV Watch誌が、PS5の開発指揮をとった、SIEのハード開発のトップ伊藤雅康氏、同プラットフォーム企画のトップ西野秀明氏にインタビューを実施しています。
「PS4の互換機能」の話題では、伊藤氏は「PS5は最初から互換を想定して開発しており、x86から変えないことも大前提だった」、また西野氏が「前方互換(PS5と同じタイトルをPS4にも供給する)ことが大事」「PS4からPS5への移行には3年くらいかかると予想している」と伝えています。以下に、この言及した段落の部分を抜粋しました。
互換は「大前提」、PS4とのクロスジェネレーションを意識
PS5はPS4のゲームを動かせる「互換機能」を持っている。古くはPS2がPS1の互換機能を持ち、PS3では初期モデルのみハードウエアでのPS2互換機能を持つ、という形になった。その後、PS4に至り、CPUアーキテクチャをx86系に変更したこともあって、過去との互換は「クラウドでの対応」を中心としたものに切り替わって行った。
PS5は、PS4と同じくAMDのプロセッサーで動作している。そのために互換性を維持しやすかっただろう。実際、かなりのPS4ソフトがそのままPS5上で動作している。互換の開発についてはどうだったのだろうか?
伊藤:正直な話をすれば、今回、互換のために特別なことをした、という意識はないです。もちろん、プロセッサーの世代が変わっていますから、その面での細かなチューニングは必要でしたけれど。PS5は最初から互換を想定して開発しており、x86から変えないことも大前提でした。
西野:互換という意味では、PS5でPS4のタイトルを動かすことも重要なのですが、前方互換(PS5と同じタイトルをPS4にも供給する)ことが大事、と主張してきました。
現在の想定では、PS4からPS5への移行には3年くらいかかると予想しています。その間、PS4でもゲームを買い続けていただくにはどうしたらいいのか? 購入したゲームがPS5でも遊べるかどうか? そこが重要です。
とある時期を境に、デベロッパーの方々には、PS4とPS5の「クロスジェネレーション」を前提に開発をお願いしています。もちろん、それを容易にするためのライブラリーの充実も必要ですが。
「互換」という意味で少し気になる部分がある。
PS4には、動画配信アプリなど、ゲームとは違う枠組みで動作する「ミニアプリ」があった。PS5にも「メディア」というタブの中にこうしたアプリ群が集められている。現状はサービス開始前ということで公開許可が降りておらず、スクリーンショットなどをお示しすることはできないが、複数の動画配信サービスが使えるようになる予定だ。
これは、PS4の「ミニアプリ」と同じものなのだろうか?
西野:ゲーム以外にメディアアプリが動く、というのはPS4と同じです。アプリの中にはPS4互換モードで動いているものもあれば、そうでないものもある状況です。
となると気になるのは、「PS5ローンチの段階ではサポートされない」と明言されている「トルネ」アプリの存在だ。トルネはバッファローにハードウエアのビジネスが移管され、ソフト・サービスはSIEジャパンが運営する形での存続が決定している。どうなるのだろうか? ここは同社広報コメントとして「PS5での対応については、今後検討していく」とのみ回答が寄せられた。
もう一つ。ソフト面の機能として、PS4にあってPS5にないものとして「ウェブブラウザ」が挙げられる。
西野:現状、PS5にはウェブブラウザを搭載するつもりはありません。色々なネットワーク機能を使うためのコンポーネントとしてはもちろん使っていますが、アプリとしてウェブブラウザがゲーム機に必要なのか疑問もあり、見極めさせてください。チャイルドスイッチ対策なども必要になるため、ウェブブラウザの搭載にはそれなりの工数もかかりますので。
PS5/4が、同じx86アーキテクチャを採用しているため、既存PS4ソフトウェアに大きな影響がなかったようですね。さらに、PS5が、PS4の互換機能を持っていることから、今後もPS4向けに開発したタイトルが生きるので、長い間、PS4が残ると見ているのかもしれません。